今号の特集でも取り上げた、もはや国民病ともいえる「歯周病」。厚生労働省の「歯科疾患実態調査」 (平成28年)によると、4mm以上の歯周ポケットを有する人の割合は年齢が高くなるにつれて増加し、 50歳代以上になると約50%の割合を占めます。また、歯肉出血を有する人の割合は15歳以上で30%を 超え、若年期から歯周病予防を行うことが今後さらに求められるといえるでしょう。

 歯周病の主な原因は歯に付着するプラーク(歯垢/細菌の塊[バイオフィルム])です。歯周病を進行させ ないためには、このプラークの除去が重要であり、日々のセルフケアがポイントになります。セルフケア の基本である歯磨きに関わる口腔ケア用品の選択・使用時のポイントを表に示します。

 歯磨剤には、プラーク形成抑制やプラーク中の細菌数抑制効果等のある成分を配合するものがあり、目 的に適した製品を選択する必要があります。また、市販されている歯磨剤のほとんどにフッ化ナトリウム などのフッ化物が含まれています。フッ化物は、①再石灰化の促進と脱灰の抑制、②歯質の強化、③ミュー タンス菌の抑制により、う蝕予防効果があるとされています。ただし、低年齢児はフッ化物の過剰摂取に よる歯のフッ素症のリスクから、フッ化物イオン濃度と使用量が示されているので注意が必要です。

 歯磨剤自体は歯周病の歯肉炎と歯周炎に対して明らかに治療効果がある訳ではなく、あくまで補助的な ものです。大事なのは、炎症の原因となるプラークを取り除くため丁寧なブラッシングで磨き残しを少なく することであり、正しいブラッシング方法を身に付けることが基本になることも忘れてはいけません。