チャットボットとは、「チャット」(インターネットを利用した主にテキストでのリアルタイムコミュニケーション)と「ボット」(ロボット)を組み合わせた言葉で、テキストや音声を通じて自動的に会話するプログラムのことをいう。銀行や旅行会社、自治体など幅広い業界のWebサイト・アプリ等で取り入れられており、目にしたことがある方は多いだろう。今回は製薬企業でも導入が進むチャットボットについて取り上げる。

製薬企業のチャットボット導入の目的と
各社特徴

 製薬企業は、24時間365日の問合せ対応を可能にし、医療従事者や患者など利用者の利便性向上を大きな目的として、チャットボットを導入することが多いという。その他にコールセンターにおいて、オペレーターの習熟度に左右されない対応の実現や、「あふれ呼」「放棄呼」といった応対できない電話の削減なども挙げられる。チャットボットを導入している主な製薬企業とその特徴をに示す。

薬剤師のチャットボット利用実態と
普及の課題

 ファーマスタイルで実施したWebアンケート(集計期間:2022年5月11~29日)では、利用したことが「ある」と回答したのは17名(28.3%)、「ない」は43名(71.7%)。「ある」の回答者の問合せ理由は、主に患者指導箋などの資料請求(8名)製品の添付文書/インタビューフォーム情報(7名)などであった。使用感について、約半数(8名[47.1%])は十分な回答を得ることができたとする一方で、残りの半数は回答が不十分だったため、追加で自分で調べる/コールセンターやMR等に問合せるといった対応を実施したという。

 普及の課題として、薬剤師がそもそもチャットボットサービスを知らない、こうしたサービスを使い慣れていない/使いにくいといった印象から抵抗感を抱いているという点がみられた。また、検索機能と同等であればチャットボットを使う必要性がないといった意見のほか、「簡単な依頼であればチャットボットを利用するまでもなく、複雑なことならコールセンターにかける必要がある。チャットボットの立ち位置は難しい」という声もあった。

 製薬企業にはチャットボットの具体的な使用法や検索機能とは異なるメリットの解説、どのような場合にチャットボットを利用した方が良いか(コールセンターとの使い分け)といった情報発信が求められていると考えられる。