2024年9月の承認薬

 2024年9月24日、厚生労働省は新有効成分含有医薬品14製品を承認。「月経困難症」を効能・効果とする「アリッサ配合錠」(エステトロール水和物/ドロスピレノン)もその1つに含まれる。

月経困難症とは

 月経困難症は、月経時あるいは月経直前より始まり、強い下腹部痛や腰痛を主症状として日常生活に支障をきたすほどのものを指す。症状は下腹痛、腰痛のほか、腹部膨満感、嘔気、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、イライラ、下痢、憂うつなどもみられる。

 原因によって2つに分類され、1つは子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫といった疾患に起因する器質性月経困難症で、30歳代以降が中心といわれる。

 もう一方は、機能性月経困難症で、特定の疾患に起因しない。機能性月経困難症は思春期に多く、年齢や妊娠出産とともに軽快するといわれることが多い。一方で、思春期の女性に対し、年齢とともに軽快する可能性を説明して辛さをやり過ごさせるより、症状への対処や治療法、子宮内膜症のリスクなどをきちんと提示して対応することが望ましいとされる。

おもな治療薬とLEP

 器質性月経困難症の場合は、原因疾患の治療が原則となる。機能性月経困難症では、月経時に子宮を収縮させるプロスタグランジンの過剰分泌による過収縮から痛みが生じるとされるため、第一選択薬となる非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)のほか、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)、黄体ホルモン製剤(ジエノゲスト)、漢方薬・鎮痙薬などが用いられる。今回承認されたアリッサ配合錠は、LEPに分類される。

 LEPは、NSAIDsで十分な疼痛緩和が得られない場合などに選択されるが、思春期の女性では日常生活への影響や子宮内膜症の進行予防の観点からNSAIDsとの併用も有用といわれている。

おもなLEPと服用方法など

●ルナベル配合錠LD/ULD(ノルエチステロン/エチニルエストラジオール):[エストロゲン量](LD)0.035mg/(ULD)0.02mg[服用方法]実薬21日間・7日間休薬

●ヤーズ配合錠(ドロスピレノン/エチニルエストラジオールベータデクス):[エストロゲン量]0.02mg[服用方法]実薬24日間・プラセボ4日間

●ヤーズフレックス配合錠(ドロスピレノン/エチニルエストラジオールベータデクス):[エストロゲン量]0.02mg[服用方法]実薬120日間・4日間休薬または実薬24日間・4日間休薬

●ジェミーナ配合錠(レボノルゲストレル/エチニルエストラジオール):[エストロゲン量]0.02mg[服用方法]実薬21日間・7日間休薬または実薬77日間・7日間休薬

 既存のLEPは、いずれもエストロゲンの1つであるエチニルエストラジオールを含む。エチニルエストラジオールは、血液凝固因子産生亢進や抗凝固系に働くプロテインS産生を抑制する働きがあり、易血栓性が指摘されている。服用中は水分摂取不足や長時間同じ姿勢でいたり、加えて喫煙、高年齢、肥満、高血圧などは血栓症のリスクを高めるため注意する必要がある。アリッサ配合錠は、エストロゲンとして天然型エストロゲンのエステトロールを含有する。エステトロールは血液凝固系に対する影響が既存薬に比べて少ないとされる。

(参考)アリッサ配合錠(エステトロール水和物/ドロスピレノン):[エストロゲン量]15.0mg[服用方法]実薬24日間・プラセボ4日間


【参考情報】
・公益社団法人産婦人科医会HPより「月経困難症」
・産婦人科診療ガイドライン一般婦人科外来編2020
・富士製薬工業株式会社「2024年期第2四半期決算説明会」資料
・各薬剤添付文書(2024年9月27日時点公開情報)