本田先生が女性の健康などをテーマに語ります

本田 由佳 Yuka Honda

健康科学者/メディカルアナリスト/博士(医学)
慶應義塾大学SFC研究所上席所員、順天堂大学医学部非常勤助教ほか。順天堂大学スポーツ健康科学部を卒業後、㈱タニタ開発部 研究員等を経て現職。女性や子どもの健康管理について研究している。大学生のママ。

若い世代の葉酸の知識はどのくらい?

プレコンセプションケア(PCC)は将来の妊娠を考えながら、女性やカップルがより健康になるために必要な知識と行動です。将来の妊娠のために、適切なエネルギーと栄養素をバランスよく摂ることは大切です。その中でもビタミンB群の一種で、ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれる葉酸は、妊娠初期に重要な栄養素で、食事摂取基準(厚生労働省)では1日240μgを推奨量としています。
妊娠初期に葉酸が不足すると胎児に「二分脊椎症」をはじめとする神経管閉鎖障がいの発症リスクが高まるため、諸外国では積極的な摂取の勧告政策が進められています。しかし、日本の若い女性の葉酸摂取量は低く、さらに国立成育医療研究センターが都内の大学で調査したところ、82%の学生が「葉酸についてあまり知識がない・全く知識がない」と回答し、若い世代で葉酸の重要性に対する認識が非常に低い実態が明らかになりました。

葉酸摂取の重要性を若者に広めていこう!

2018年11月13日、国立成育医療研究センターと慶應義塾大学SFC研究所健康情報コンソーシアムとの共催で『第4回PCC・オープンセミナー「葉酸とPCC」』が開催されま した。セミナーでは、妊娠前からの葉酸摂取の必要性、必要時期と量、薬と葉酸の関係性などについて意見交換したほか、学生からは「葉酸レシピ」の提案もありました。
特別講演で女子栄養大学副学長の香川靖雄先生は、20歳~39歳の日本女性の葉酸摂取量はWHOの推奨量400μgに比べ227μgと低く、特に低所得者層で危機的な低栄養状 況にあると警鐘をならしました。さらに最近の研究で、葉酸が脳梗塞や認知症などの予防に関連していると明らかになったことから、葉酸は全ての国民の健康維持・増進に役立つと強調されました。
セミナーの最後には、国立成育医療研究センター母性内科診療部長の荒田尚子先生より葉酸に関する「宣言」が発表されました。日本の若い女性の葉酸摂取率を上げるためには多職種連携が必要です。薬剤師の皆様からも「PCC宣言(葉酸とPCC)」をご発信いただければ幸いです。