鉄欠乏性貧血は、特集にもあるように過剰なダイエットや偏食といった食事が原因で起こることがあります。生野菜や果物、そのほか特定の食べ物だけという極端なダイエットや、糖分や動物性脂肪に偏った食習慣は貧血のリスクになります。

 鉄欠乏性貧血は体内の鉄が不足していますので、なんといっても鉄分をとることが大切です。ただし、食品から鉄を摂取しても体内に吸収されるのは摂取したうちの一部です。鉄分は、肉や魚に含まれるヘム鉄と、野菜などに含まれる非ヘム鉄に分けられますが、ヘム鉄の体内吸収率は15~20%程度、非ヘム鉄の体内吸収率は2~5%程度とされています。これには、三価鉄(Fe3+)と二価鉄(Fe2+)の鉄吸収の違いが関係しています。ヘム鉄はタンパク質と結合した状態でそのまま小腸に吸収され酵素により二価鉄に還元されます。一方、非ヘム鉄は三価鉄から二価鉄へ還元された後に吸収されます。

 非ヘム鉄は単独での鉄の体内吸収率は数%ですが、ビタミンCやタンパク質が吸収を促進しますので、これらを含む食品と一緒に摂取することで体内吸収率が上がります。逆に、食物繊維やタンニンは吸収を阻害するといわれています。食品の組み合わせも工夫して貧血対策を!

野菜類における鉄の含有量Top10

順位食品名成分量
(mg/100g)
1干しわらび(乾)11.0
1菊のり11.0
3干しずいき(乾)9.0
4干しぜんまい7.7
5パセリ(葉・生)7.5
6とうがらし(乾)6.8
7つるにんじん(生)5.9
8やぶまめ(生)4.6
9よもぎ(葉・生)4.3
10ドライトマト4.2

[参考]
今泉久美「貧血改善レシピ 鉄分とれれば元気できれいに!」文化出版局 2012
南雲久美子(監修)「冷え症・貧血・低血圧」主婦の友社 2015
文部科学省 食品成分データベース
文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
山本憲朗ほか:ビタミン 2014 88(5-6); 297- 304.
熊本大学病院 輸血・細胞治療部HP