Q1. 感染力の持続時間は?
SARS-CoV-2の感染性は、エアロゾル状態で3時間、プラスチックやステンレスでは72時間まで認められている。
Q2. 濃厚接触は?
距離の近さと時間の長さを指標とする。必要な感染予防策をせずに手で触れること、または対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(1m程度以内)で15分以上接触があった場合に濃厚接触者と考えられる。
Q3. アプリは?
新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA※)。スマートフォンの近接通信機能(ブルートゥース)を利用して、お互いに分からないようプライバシーを確保し、新型コロナウイルス感染症の陽性者と接触した可能性について、通知を受けることが可能。
※COVID-19 Contact Confirming Application
Q4. 循環器障害は?
ST上昇を認めるCOVID-19の患者では、非閉塞性の心疾患の割合が高く、その予後は悪い。閉塞性疾患の患者も多い。武漢の感染患者416例の報告によれば、心臓障害を有する患者の死亡リスクは障害がない患者の4.26倍[95%CI 1.929.49]で、入院からの死亡リスクは3.41倍[95%CI 1.62-7.16]だった。
Q5. 降圧剤の影響は?
感染拡大初期、RAS阻害剤がCOVID-19の感染を助長するのではとの懸念があったが、各国の研究では、RAS阻害剤の使用と、死亡や重症化との有意な相関は見られなかったとされている。
Q6. 腎障害は?
ロンドンの52人の小児入院患者(0-16歳)の腎障害に関する研究では、24人(46%)で血清クレアチニン値が参照範囲の年齢特異的上限を超えており、15人(29%)が英国小児腎臓病学会の急性腎傷害の診断基準に合致していた。COVID-19患者では腎不全が多く、腎代替療法の数は、人工呼吸器の数と同様に、COVID-19医療の限界に関する因子と考えられている。
Q7. 妊婦(胎児への影響)は?
妊婦が感染した場合の胎児への影響は、あるものとないものの両方が報告されている。武漢でCOVID-19と診断された妊婦が分娩したデータでは、68例のうち93%が帝王切開実施、21%が未熟児だったものの、胎児仮死はなく、新生児の喉の検体と母親の母乳検体は、いずれもSARS-CoV-2陰性だった。一方、別の研究では、新生児の喉や肛門からの検体でSARS-CoV-2が陽性だったことが報告されている。
Q8. 小児は?
成人と比較し小児では、感染しても症状が軽く、無症状の場合も少なくないとされるが、重症例や死亡例ももちろんいる。イタリアの100人の小児の研究では、最も多い症状は咳(44%)、次いで食欲不振・摂食不良(23%)だった。また、欧米各国では、川崎病の類似症状の小児患者が増加し、川崎病と診断された重症患者の一部にCOVID-19患者が含まれていると報道されているが、日本では川崎病類似の重症例や川崎病とCOVID-19との合併例は確認されていない。なお、小児がん患者は免疫抑制状態にあり、ハイリスクであることが推定される。
Q9. 嗅覚や味覚の変化は?
嗅覚・味覚の消失は、症状のひとつとして重要と考えられている。軽症患者204人を対象とする調査で、嗅覚・味覚の変化は64.4%に認められた。同調査では、嗅覚・味覚異常は、他症状に先行、他症状と同時、他症状の後、と全てのタイミングで発現する可能性が示唆されている。また、同調査 では、嗅覚・味覚障害は、女性において、男性よりも有意に多かったとされている。
Q10. 喫煙は?
「喫煙は感染者の予後悪化をもたらす危険因子である」ことを結論づけた10,000例を超えるメタアナリシスが、日本禁煙学会のホームページで公開されている。
Q11. 新薬は?
理化学研究所と京都大学が、スーパーコンピュータ「富岳」を使用し、抗ウイルス薬以外の薬剤も含む2,000種類以上の既存薬の中から新薬の候補として有望な数十種類を絞り込んだと発表。ウイルス増殖に関係するタンパク質の結合をシュミレーションすることで、想定される作用機序だけでなく、他剤との併用効果も検討できる可能性がある。
参考資料 厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
厚生労働省 新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) COVID-19 ContactConfirming Application Toshiharu Furukawa, M.D., M.B.A., Ph.D. Significant Scientific Evidences about COVID-19[2020年6月30日版]
日本川崎病学会HP
日本禁煙学会HP
Katagiri D, et al. Blood Purif. 2020 11; 1-3
Iehara T, , et al. Pediatr Blood Cancer. 2020 Jun 22; e28440. doi:10.1002/pbc.28440.
「富岳」による新型コロナウイルスの治療薬候補同定(課題代表者;理化学研究所/ 京都大学 奥野 恭史)